「たぶん」

 言おうとしたことはあったのだ。

 桜木との「同居」を始めて数ヶ月。
 すれ違うスケジュール。入れ違いに遠征に向かう桜木に、結局オレは伝えるタイミングを逃したまま。
 交際発覚の記事を目にするたび。見合い話を耳にするたび。女の影がちらついて、気が気じゃなかった。

「おめーはひとつ心配事が出来ると、バスケの時間以外は全部、それを解決することに使っちまうんだな」
 にやりと笑った桜木。
「もったいねぇから、一緒に住もうぜ」
 その意味を量りかねたまま。

 未だに気持ちを伝えていないし、あいつの気持ちも聞いたことはないけれど。
 自信を持っていいような気がする。

2005/01


きまぐれにはなるはな