「夢で見たこと、知ったこと」

 時々、あまりの不幸に、これは間違いだと思う。
 だってやっぱおかしいじゃねぇか。男が男を好きになるなんて。
 オレがルカワを好きになるなんて。

 これは間違いだ。オレがルカワを好きなはずねぇ。
 つい目で追ってしまうのは、あいつがオレのライバルだからで、
 姿を探してしまうのは、あいつがオレの天敵だからで、
 視線や声を欲したがるのは、百歩譲って、友情を築きたいからで。

 ――でも、夢を見た。

 夢の中で、オレとルカワは旅行の計画を立てていて、
 ルカワはやけに親切で、穏やかで、オレはやっぱりルカワに好意を持っていて、その旅を楽しみにしていた。
 でもルカワには彼女がいて、とっても大事に思っていて、オレはそのことを知っていて、それでもやっぱり好きだった。

 何だ、やっぱ好きなんじゃねぇか。
 目が覚めて、真っ先に思ったのはそれで。
 もう認めるしかねぇんじゃねぇかと思った。諦めるしかねぇんだって、悪アガキするだけ無駄なんだって。

2002/05


きまぐれにはなるはな