「晴子の気持ち」
 桜木くん、知ってる?
 桜木くんて、いつも流川くんのこと見てるんだよ。
 そして流川くんも、桜木くんのこと見てるの。
 いつ頃からだったかな。二人が仲良くなったのは。
 気が付いたら、よく一緒にいるよね。昼休みの屋上とか、部活後の体育館とか。
 この間、公園で見たよ。二人でバスケしているところ。
 まるでそこだけ別の空間みたいに、私は声を掛けることが出来なかった。
 近付くことすら出来なかった。
 奪い合っているのが、ボールなのか、リングなのか、
 息なのか、汗なのか。
 視線なのか、熱なのか。
 私はとても、嫉妬した。
 二人の間に存在している何かを、とても憎いと思った。
 ――私の方が、先に出会ったのに。
 私たちの間にあるものより、はるかに強力な、そのつながり。
 桜木くん、知ってる?
 人の心が、同時に相反する気持ちを抱いたりすることを。
 知ってる?
 私が誰に嫉妬しているのか。
 桜木くん、知ってる?
 知ってる?
2002/04
⇒きまぐれにはなるはな